こちらをご参照ください。
2009年度大会は、東北大学で開催されます。1968年の日本思想史学会結成大会(日本思想史研究会第4回大会)を第1回と数えれば、今年度は第42回大会に当たります。
この機会に大会の歴史を振り返ってみて、いくつかの節目があることに気がつきました。最初の節目は1977年の第10回大会です。この年から、それまで教授クラスが中心だった研究発表が(高校教諭や商店店主の方が併存するのも特徴)、大学院生中心に変わりました。新制大学の成果が学会にも出始めてきた感じです。このころは最終日の巡見をふくめた3日間開催が一般で(1973〜83、87)、4日間という羨ましい年(1976)もあります。
次の節目は91年の第24回大会です。この年初めて「大会パネルディスカッション」が企画され、その成果が学会誌に掲載されるようになりました。また会則に「大会運営委員会」(96年に大会委員会)の設置が明記されました。従来も主題発表・公開講演等はあったものの、やはりこの年が大きな画期です。現在の1日目シンポジウム、2日目研究発表・パネルセッション体制が固まるのは2002年。99年には事務局がはじめて東北大学を離れました。このように90年代は変革の時期でした。
第10回以降を「青年期」、第24回以降を「壮年期」とすれば、今年度はそろそろ「中年期」でしょうか。中年期は、社会的な期待も高まり、それに応じられるだけの経験・知恵も積みながら、いっぽう身体機能が低下しはじめ、様々な変化に適応しにくくなると言われます。
いつまでも青年や壮年のつもりで無理するよりは、安定と不安定、若さと老いが独特な形で共存する、中年期ならではの「大人」の学会の魅力を第42回大会はめざします。そのためには、本学会がこれまで積み上げてきた様々な経験・知恵を総動員し、子供や老人だと諦めがちな障害にも粘り強く対処し、社会的な貢献や国際化の期待にも気を配って、ナイスミドルの学会の織りなす豊かな夢を皆さんと共有できるよう尽力する所存です(「厄年」と言われぬよう)。すでに大会シンポジウムは、総務委員会との調整を重ねながら、そうした方向に着実に歩を進めています。次は個別発表・パネルです。たんなる業績作りではない、「大人」の大会の魅力を支えてくれる、力のある応募をお待ちしています。ご支援よろしくお願いします。(2009年度大会実行委員長)
本年は帝国憲法発布120年、国際人権規約批准30年、来年は韓国併合100年です。このような時期に、私たち大会委員会は本年度大会シンポジウムを「日本思想史から見た憲法−歴史・アジア・日本国憲法」というテーマで企画しました。憲法をめぐっては政治学や歴史学など様々なアプローチが考えられますし、時に鋭い政治的イシューとして耳目を集めてきましたが、私たちはあくまでも<思想史学>の立場からの学問的検討を企図しています。具体的には、@日本を主たるフィールドとして憲法に体現された理念の思想的淵源の検討、Aアジアを主たるフィールドとして日本の憲法や法制理念が有している/いた意義や問題点の検討です。そのため、報告者やコメンテーターの皆さんを広く学会内外に求めるともに、例えば憲法に対する<皮膚感覚>に留意し、異例ですが世代も考慮しました。生年を世代順に紹介すれば、樋口陽一氏が1940年代、岡本厚氏が50年代、浅野豊美氏が60年代、大久保健晴氏が70年代です。
また初めての試みですが、特にシンポのねらいのAに関連して、日本や欧米のみならず中国や韓国さらに中東の学者のインタビューが収録されている『映画日本国憲法』の上映をシンポジウム関連企画としました。シンポジウムと映画上映を併せるとほぼ5時間の企画となりますが、学会員の皆さんのご理解をお願い致します。さらに今回の大会では、個別研究発表、パネル・セッション、シンポジウムの三者が適切に行われ、三者併せて本学会の個性と研究水準を広く学界及び社会にアピールし、本学会の発展を一層展望したいという辻本会長の意向を受け、私たちはパネル・セッションの開催にも尽力しました。大会までの残された期間、特にシンポジウムの成功に向け、遺漏のないように準備を進めていこうと考えています。(大会委員長)新入会員一覧ほか、一部ホームページ上の「ニューズレター」には掲載していない情報があります。